何か大きなものに取り込まれるという視点で新海作品を語ってみた。

初出2017年11月19日ブログ雑記林
新海誠監督作品の一貫としたテーマは「喪失」と言われているが何か大きなものに「取り込まれる」「埋没する」というのも多くの作品で描かれている。
・星のこえ
「私たちは宇宙と地上に引き裂かれる最初の世代なんだね」人類の歴史をあまり意識していなかった二人が人類がこれから創りあげる歴史の先導を切った形の運命に流される。二人だけの世界の住人が人類の一部になっていく。
・雲の向こう、約束の場所
ガキのおもちゃだった筈が人類の未来を背負った爆撃機になっていく。主人公たちは分断後の世代である。それゆえ知人や家族が蝦夷に居て引き裂かれた訳でもなくただ興味本意で行ってみたい土地であった。分断による痛みや苦悩などはしらない中学時代に密航を企てていた。結局その時は飛ばず3年後に世界を救うためという人類の未来を背負って飛び立つ。塔の破壊は言うまでもなく歴史に残る事実である。彼らは歴史の一部となったのだ。
また、こうなる羽目になったきっかけは岡部のおじさんとの関係である。アルバイトするということは経済活動に参加するということであり大人の仲間入りである。
飛行機作りにはアルバイトが欠かせなかった。しかし、そのせいで純粋な遊覧飛行というわけにはいかなくなってしまった。塔に、歴史の産物に近づくということは歴史の一部になってしまうことのようだ。
・秒速5センチメートル
小学生の頃は二人だけの世界だった。貴樹が教室から明里の手を引いて廊下に駆け出していくシーンがその入り口であろう。
別々の中学校に進学した二人はお互いが考えもしなかった関係を築いていく。明里は貴樹がサッカー部に入部したことに驚き貴樹が想像する明里は「なぜか一人だった」。そして自然と便りが途絶える。か大きな世界に関わっていく内に自然とそちらに取り込まれていく。そして自然と便りが途絶える。
・星を追う子ども
「生」と「死」は太古の昔から繰り返されている。「死ぬ」ということの本当の意味を知らなかった明日菜はシュンの死を受け入れずにいた。またモリサキも妻の死を受け入れられずにいた。「死」という生命の大きな流れの一部を拒んでいたのだ。二人はアルカダの旅を経て「死」を受け入れ生命の流れの一部という自覚を持つ。
・言の葉の庭
大都会を歩けなくなった人たちが東屋にやって来る。二人だけの東屋から大きな世界へ歩み出し確かにその一部に溶け込んでいく。
・君の名は。
始めに描かれている二人のコミュニケーションはあたかも同じ時間で同じ年齢のもの同士のごくありふれたコミュニケーションである。しかし、蓋を開けると時間や場所がずれたコミュニケーションであった。さらに二人が出会うシーンでは千年もの時を越えたコミュニケーションが重要な役割を果たす。身近なコミュニケーションから広大なコミュニケーションへと広がっていく。
(時空を越えたコミュニケーションについてはyoutubeの動画でも解説しています。併せてご覧いただければ幸いです。<a href=”https://youtu.be/pffH_rd0ut4″>【君の名は。】誰そ彼以外に黒板に重大な秘密が・・・【図書館学的に語ってみた】伏線解明</a>)
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