序章 今回廃止される駅に至る道

 このボード、なかなか可愛らしい。という訳で毎回お馴染みスカイマークで新千歳空港へ。よく晴れており途中名駅付近や新潟県の親不知の岸壁、それから海へと伸びる男鹿半島もくっきり見る事が出来た。

 北海道は矢張り寒く鞄から上着を取り出し降機。いつもの乗換駅に来て吃驚。直前迄千歳線が信号機故障の影響で停まっており動き出したもののダイヤが大幅に乱れているとのこと。その所為で改札口は混乱していた。先ずはみどりの窓口で乗車券を購入。初田牛駅迄の往復乗車券である。序でに運行状況を問い合わせると、以降の特急列車は札幌駅を定刻に出発する予定とのこと。これならほぼ計画通りに行けそうだ。
 空港の支線から一駅で本線上の南千歳駅に着く。そうしたら大幅に遅れている特急列車が乗り換え待ちして呉れていた。然し停車駅が分からないし現金をあまり持っていなかったので見送った。車内で特急券を買う場合現金しか使えないが駅窓口ならクレジットカードが使える。

 乗り換えに時間があるので待合室へ。ここで時刻表を捲ってみると損したことに気が付く。見送った特急列車「スーパーおおぞら3号」も乗る予定の「スーパーとかち3号」も新夕張駅に停車する。だからそこまで行って了えば特例で新得駅まで乗車券のみで乗れる。そして悪いことに夕張行きの普通列車が区間運休である。これで追分駅まで行き特急料金を浮かせる策も使えず。結果千二百円程損した気分。

 自由席はたった一両。混んでいるだろう。鉄道から話は逸れるが乗車口へ行くと近々引退する政府専用機を見ることが出来た。
 車内は案の定満席だ。ただ、この列車は追分駅始発となった夕張線普通列車に乗り継げる為南千歳追分間は特急料金不要の措置が採られている。追分駅で何席か空くだろう。
 追分駅に着くと夕張へ行く鉄道マニアとみられる方が下車。席を確保することが出来た。続いて地元の方々も何名か降りて行った。こうして見ると一般の利用者も多くいるのだ。廃線が勿体ない。
 そこから先は、朝早いフライトだった事もあり眠っていた。気が付けばトマムで中国人が大勢降りS字カーブを降り新得駅に到着。ようやく十勝の入り口である。ここから普通列車に乗り換える。特急列車は速いが追い抜ける普通列車が走っていない。どのみちこの列車になって了う。

 のんびりキハ40の旅の始まり。地元の方々が乗って来たが二両繋いでいるので広々としている。
 十勝清水を出ると次は羽帯と言いたいが御影である。防風林と踏切に胸騒ぎがする。看板に「在りし日の羽帯駅」とポツり書いてあった。
 帯広駅では約25分間停まる。ここで食料調達。席を空けている間に誰か来ないか少々心配な程人が乗っていたが大丈夫であった。

 駅前のセイコーマート。他店に対抗してか豚丼を推してくる。ついついそれを購入。その他一夜分の食料を買い込みいざ秘境駅へ。
 ここから先がまた長い。

池田と言えば一昨年、上厚内駅に向かう途中もうひと踏ん張りという事でラーメンを取り込んだ町である。ここから先は駅数は少ないが時間がたっぷりある。無人地帯と化した区間である。上厚内駅が無くなった区間はどのような感じであろうか。
 新吉野、浦幌迄は他に乗客がちらほら居り村の重要な交通機関として機能しているようだ。然しここから先は村すら無い。信号所が駅になり損なった山間部である。あの姫川や鷲ノ巣等でさえ一時期は駅だったのだ。そう考えると秘境駅好きとしては一度訪れてみたくもある。
 そして、この区間こそ一番気掛かりな区間でもある。二年前に上厚内駅があった処だ。歴史が黒く染みついた駅舎は残念ながら取り壊されて了ったと聞く。然しながらほんの少しでも駅の思い出を感じることは出来やしないだろうか。窓枠に縋る思いで進行方向左側を見つめていた。
 只々深い森の中へと入って行く。エンジンが軽油を焚きながらレールを一本一本登って行く。時折細く深い川が見えるとあの駅に帰って来た事を実感させられる。所々に民家が見える。あれは廃屋だろうか、それとも未だ人が住んでいるのだろうか。それすらも判らない。そしてまた白い木々の間を走っている。その時ポーンと不意打ちを食らった。「間もなく厚内・・・・」。嗚呼、どうやら駅跡を認める事が出来なかったようだ。あの時の村が上厚内であったのだろうか。何か違う。どうしてか記憶と結び付かない。

 厚内駅は列車交換可能駅ということもあり広々とした構内である。駅舎も立派だ。この次が直別駅、更にその次が尺別駅。この二駅が春が来たら廃止となる。厚内駅の周りは二年かけて滅法寂しくなった。まるで石北線の白滝のようだ。

 矢張り駅間は長く随分遠くに来たものだ。そして見えたものはとんがり屋根のログハウス、直別駅だ。このようなペンション風の駅(=別荘)が無くなって了うのは旅から安らぎを失って了うようなものだ。こう考えているうちに発車。ここへは復路で訪れよう。

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