新海作品の音楽は「君のこえ」に通ずる

初出2018年1月11日ブログ雑記林

「雲のむこう、約束の場所」(2004年)の主題歌の「君のこえ」のことです。この曲こそ後の新海作品の音楽にも通じる特徴の詰め合わせといっても良いと思います

・世界が変わるアルペジオ

アルペジオとは和音を下から積み上げるようにして演奏する装飾記号です。これを重要なところで入れているのですね。

「雲のむこう・・・」では「君のこえ」の前奏の終わりに一回出てきます。そして寂しげな、なにかを失ったような感じの歌詞が入ります。ちょうどこの時に塔が破壊されます。塔が破壊されて世界が変わって、君がいない世界に入って行く。その節目です。

もう一ヶ所、最後の繰り返しの前に出てきます。思い出に浸ったあとに最後の繰り返しでこれからも生き続ける決意を新たにするのです。その節目に使われます。

「秒速5センチメートル」では「思い出は遠くの日々」に出てきます。歌詞がないので説明しにくいですね。すみません。ロンド形式の曲です。ABACA’で書かれています。Aは主題と呼ばれ何度も繰り返されるあれです。一番最初に出てくるメロディーでもあります。その間にエピソードと呼ばれるメロディーが入っています。(BとCです)この曲ではCの最後の方に出てきます。その直後に一瞬主題を思わす出だしのメロディーが出てきて踏み切りで振り向いたかなと思ったらもう誰もいなかったあのシーンがよみがえります。その後の主題がより華やかな調に転調されていて思い出が昇華されたように思います。

「星を追う子ども」は「Hello Goodbye & Hello」で出てきます。「(略)始まっていたこの旅(アルペジオ)Hello(略)」

やはり繰り返しの前に出てきますね。

「君の名は。」ではスパークルで出てきます。沢山出てきますね。まず「辞書に・・・」に入る前と「君のは僕の前で・・・」に入るところで出てきてそこからは間奏があまりないですね。逆にそれ以前のどんよりしたところでは出てきません。心境の変化がうかがえます。そして「運ばれる朝に」から「愛しかたさえも」の間の間奏で二回出てきます。劇中では三葉が「あの人の名前・・・」と言い出すタイミング。名前を忘れる音だったのでしょう。もうひとつはピアノの三連符が穏やかな弦楽器に変わる節目ですね。そして最後一番盛り上がる「運命だとか」の前で一発出てきます。ここから一丁やってやるという感じですね。更に最後に物語に繋ぐように一発。

・孤独なピアノソロ。

ピアノソロのところが孤独ですよね。「君のこえ」でも最後にメインテーマや佐由理が劇中で演奏したりするメロディーがピアノソロで流れますね。君を失った世界になった後のことです。一人で思い出に浸っているのでしょう。

「秒速5センチメートル」の「思いでは」はピアノ曲です。結局結ばれずに終わってしまいますからね。

「言の葉の庭」も「孤悲」の物語らしくピアノ曲ですね。監督が企画書の段階でピアノ曲を想定していたのもこういう訳があったのでしょうか?

・息吹を感じる弦楽器。

「君のこえ」では前奏に弦楽器が入りますが一番では消えてしまいます。そしてまた二番で鳴り始めて最後の繰り返しのところは消えてしまいます。前奏では君の声が幽かに聞こえてきたような感じですが一番の歌詞のところで消えてしまいます。そして一番は終始孤独です。そして二番でまた聞こえてきます。思い出に浸っているのでしょう。そして最後の繰り返しのところで本当にお別れではないでしょうか?

「秒速5センチメートル」では「桜花抄」の音楽にこの特徴があります。岩船駅での再会の時に優しい弦楽器がなります。そして「桜花抄」のなかで、主題歌のピアノソロが繰り返し演奏されますが、別れの直前では弦楽器の演奏になります。そして貴樹を乗せた列車が駅を離れてしまうと急に小さくなります。

「言の葉の庭」では雪野の部屋のシーンでバイオリンとチェロの演奏が入ります。男女の会話みたいです。そして階段での言い合いのシーンは激しい弦楽器が特徴です。言葉をぶつけ合っていますね。

「君の名は。」では劇中音楽で弦楽器が要所要所に出てきます。前に指摘しましたがお互いの息吹を感じるところです。美術館デートの飛騨の写真を目の前にしたところが一番分かりやすいかな?あと入れ替わったときに東京を目の前にした時やご神体に行くシーンは濃厚ですね。両者とも受けとるものが多いのでしょう。

こうしてみると「君のこえ」は新海作品の音楽を形作った名曲とも言えるのではないでしょうか?

弦楽器が凄い

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