何十年経過した気がします。~「君の名は。」の伝外小説について

新海誠の作品「君の名は。」(2016年 映画版東宝 小説版角川書店)の裏側を描いた小説「君の名は。 Another Saide:Earthbound」(2016年 加納新太著 角川書店)は彗星災害から何十年も経過したような気分にさせられる作品である。内容は本編と同時に進行しているが視点が異なる。しかし、時間がずれているような気がするのだ。

前畑良子選手をご存じだろうか?ベルリンオリンピック(戦前)の競泳の日本代表である。当時のラジオの中継では実況が「ガンバレ前畑!」を連呼したことで有名である。彼女の当時の日記が最近になって発見されたらしい。三年ほど前、調査された学芸員の方が話していたが、当時語られなかった心境を綴ったものもあるそうだ。その後の調査がどこまで進んだかは聞いていないがふとこの事を思い出させられた。

身近なところでは夏ということで戦争に関する新聞記事も多いこの季節。軍人の子孫や遺品が語る戦争の裏側が今年も発掘されている。そのような記事を戦後72年を経て我々の目に触れる。それに近い感覚である。
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当時は、しかもマスコミを通じて日本中に発信される場ではとても語れないことがこうして長い年月を経て発信されることがある。本編の最後で瀧が漁っていたマスコミの資料には書かれていない当事者のデリケートな思い。それが「君の名は。 Another Saide:Earthbound」で描かれている。

 

拙著「『君の名は。』について図書館学的に語ってみた。」

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