名松線未成線歩きその二 比奈地ダムまで

 再び歩き出すとすぐにトンネルが見えた。短いながら山の中へと突き抜けるのがよく分かる。今迄私が旅してきた所は鉄道線沿線が殆どだ。一日に歩く距離は長くても近くに町があり商店もあった。これから踏み込むのはローカル線すら無い秘境である。果たしてどのような光景、試練が待ち受けているのだろうか。
 取り敢えずひたすら山道である。山の上がゴルフ場になっているらしくネットが張ってある道だ。飛騨と同じく五月の緑の山々が続く。ひたすらに緑かよと思っていると所々い藤の花が咲いているのに癒された。

 もうそろそろダム湖ではないだろうか。そう思っていたら白い大きなモニュメントが見えた。そして公園のように整備されている。更に向こうには、豊かなダム湖が広がっていた。今迄来た道が狭い山の中であった分とても広々と感じる。折角なので周りを散策してみたいがまだまだ道は長い。だいぶ来たと思ったが序盤である。緑豊かな公園でもう少しのんびりしたいところだった。バス路線もあるのでまた訪れてみたいものである。
 今でこそ豊かな湖である。しかし、以前は村であったと片隅の仏像が語っていた。最早村という空気が皆無なのが寂しい限りである。

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 更に奥へ奥へと進む。国道の道幅が更に狭くなった。同じ国道と言えど1号線や19号線辺りとはその様子も建設の目的もだいぶ異なるものだ。県道を思わせる山道である。
 ダムに注ぐ川は水が豊かでそれに沿うように道が通っている。これに沿って鉄道も敷かれる筈であった。そして山の緑の中に繰り返しになるがほんのりと藤の花が咲いている。行程の中で幾度となく目にすることになった。このようなささやかさに和まされる。途中、日に数える程しかないバスとすれ違う度に引き返す機会を失っていゆく。
 やがて村が見えた。近代的なコンクリートのダムと違い木造の日本家屋が立ち並ぶ山村である。渋く奥ゆかしい。

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