名松線未成線歩きの旅その6~名松線完乗!

始発列車もずいぶんゆっくりと動き出す。都市の日が昇らない時間から走り回っている列車に比べると優雅な朝のひとときである。撤収の準備を済ませてふと思いつく。折角なので駅の周辺を散策してみよう。それに駅ノートもまだ十分に読んでいない。時間に余裕はある。始発列車は見送ることにした。
 向こうから踏切の音がして回送列車がやって来た。未だ駅に乗客はおらず閑散としている。発車までまだまだ時間がある。これから人が集まって来るのであろう。ローカル線でも通学時間帯は混雑するのが常である。案の定発車十分前にもなるとチラホラと乗客が集まってきた。然しそれだけであった。列車は数名の高校生を乗せ発車して行った。これから先の駅で乗客を乗せていくのだろうが寂しいものだ。
 昨夜から気になっていた神社へも行ってみた。潜ると右折し山の斜面に沿って行く。小ぢんまりとして奥まった感じがする。山村の守り神といった雰囲気だ。
 

 駅に戻ってみると見慣れたバスがやって来た。此処に来る迄に何度も擦れ違った緑色の車体。三重交通のバスである。行先は名張駅前。未成線を走破する路線だ。この便は下りの一番列車が着く前に発車して了う。そして日に一本しか無い為現在ではこの経路を松阪から名張迄バスで行こうと思ったらコミュニティーバスで太郎生迄行き更に乗り換えねばならない。
 そのバスの乗客も一名程しかおらず地域が分断されているとつくづく感じる。
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 そしてこの駅には多くの駅ノートが残されている。ここまで古く迄遡れる駅もそう多くはないであろう。パラパラと項を捲ってみると「大垣夜行」なる文字が飛び出す。今や全席指定の快速「ムーンライトながら」として運行しているが昔は繁忙期には自由席で雑魚寝と聞く。果たして彼は十分眠れたのであろうか。若々しい貧乏旅行らしくてそれもまた楽しそうだ。読んでいると確かに年が近いと感じるから不思議だ。今は壮年くらいの彼らであるが駅ノートの中では青年だ。
 現在の駅舎は木の香りが感じられる新しい駅舎であるからこのノートには先代の駅舎の思い出も残されている。伊勢奥津駅は本当に長い間多くの旅人が目指した思い出の終着駅でもあるのだ。

 ようやく列車がやって来た。こう言うもののその時が来て了えば名残惜しくもある。駅ノートもほんの少ししか読めていないし緑豊かで居心地が良い。素晴らしい駅だ。
 この列車も乗客はまばらである。長閑なローカル線だ。エンジンを響かせてゆっくりと走り出す。踏切のカーブをゆったりと曲がる。すると途端に渓谷に投げ出された。これぞ名松線の」醍醐味であろう。深い谷をずんずんと進む。長閑な村を離れ自然に挑む。途中の駅も古めかしい雰囲気のある駅舎が残されている。秘境駅として十分な佇まいだ。

 家城駅では長時間停まる。この地域の中心であり運行上の要の駅でもある。有人駅で駅舎も大きい。
 家城駅を出たら帰って来たという感覚に囚われる。私は以前井関駅までは乗車している。長閑な田園風景が広がるゆったりとした路線と記憶していた。正にそのイメージが車窓に広がる。そして、蛙が大合唱していた田圃に入り井関駅の簡単な待合所を目にした時、私は名松線の完乗を達成した。
 この後は松阪駅に近付く度に賑やかになってゆく。遠くから道路や紀勢線、近鉄線が近付いて来ればもう松阪だ。これにて名張からの一日掛かりの旅も一区切り。
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