平成最後のダイヤ改正、北海道廃止駅駅寝旅~4借別尺別!

 続いて普通列車もやって来た。これも発車を駅舎から見届ける。また誰も降りない廃止駅巡りのオタクも来ないかち合わなくてラッキーというべきであろうか。最高のトレインビュースポットである。

 北の大地の天候は変わりやすい。風も気まぐれに吹いては止んだりしている。今が周辺を散策するチャンスだろう。駅前の小道を少し歩くと道路に突き当たる。但しこれは往来の激しい国道ではない。国道とこの場所を繋ぐ道道である。静謐が保たれる理由はここにある。
 そして駅を出て右に歩くと程無くして建物が幾らか見られる。灯りが点っている家は無い。見事なまでに廃れた町だ。巨大な生き物の遺骨が横たわっているようだ。暗くて不気味で妖怪さんと挨拶できそうだ。深くまで行かずに引き返した。駅の灯りがほんわりと灯っていた。

 最終の普通列車同士が此処で交換する。どうせい遅れて来るだろうと重い腰を上げた頃にはもう上りのホームの警報器が鳴っていた。この便は札幌と繋がっている特急列車の影響を受けないようだ。私がホームに出るなり入線して来た。下り列車の到着迄はもう暫く待つ。交換は跨線橋の上から眺めよう。
 やがて下り列車も入線して来た。こちらも定刻で動いている。二本の列車のエンジン音が賑やかに鳴り響く。線路もしっかり埋まって堂々とした駅の風格だ。そんな時間も束の間。各々が目指す目的地へと別れて行った。この時は穏やかに向こうへ走り去って行った。

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 駅ノートが紛失しているしその時は一人なのであとは呑んで寝るだけ。然し寒い。兎に角寒い。幸い駅舎が広いので風が無い処を往復できる。こうして暖まった。
 帯広のセイコーマートで購入しておいたサッポロクラッシックと豚串。このパックの総菜は持ち運びに便利だから重宝している。このしみじみとした風景にクラッシックの苦味がよく似合った。
 酔いが回って来たことである。寝袋を広げよう。もうそろそろ最終のスーパーおおぞら号が通過する時刻である。まだ特急列車は遅れているらしい。そしてそれを待たずに駅は眠って了った。自動で消灯する時刻となったのだ。早々と眠りについて了うローカルな沿線の小駅を幹線の輸送の使命を受けた特急列車が通過して行った。

 朝は割と早い時間から便がある。ここからの通学にはそれ位時間が掛かっていたのだろう。二月の日の出は未だ遅く雪国らしく群青の世界だ。片付けを済ませぼんやりと外を眺めてみた。ホームの信号機がひょうと立っているのがまた切ない。
 朝一番の上り列車はそんな中をぼんやりとした輪郭を現した。そして無言で去って行く。朝一番のスーパーおおぞら号は相変わらず忙しそうにしている。
 周りの世界は白くなっていた。曇っていたので赤い朝焼けにはならなかった。視界がはっきりとしてから改めて駅舎を見てみると、シンプルで凛々しい姿をしていた。廃墟は北海道でよく見る木造家屋が風に曝されている。ここは確かに町だったのだ。時代の流れは得体知れない怪物でもある。

 時刻表を見ての通り朝の通学列車を逃すと次は午後の便しか無いダイヤである。名残惜しいがさよならである。キハ40系がゆっくりとやって来た。今度来る時は駅舎が残っているだろうか。目にしっかり焼き付けておこう。そうしているうちに駅は小さくなり雪原の小屋として佇んでいた。

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