平成最後のダイヤ改正、北海道廃止駅駅寝旅~10初田牛駅の丑三つ時

 コトンコトンと列車が夕闇に消えてから残響の中を立ち尽くしていた。さて、これからどうしようか。折角なので駅の裏も行ってみたい。夜道だがここで行かなくては後悔するであろう。地図で確かめると踏切迄そんなに遠回りでも無い。行こう。

 本当にただの夜道である。誰も居ない。動物も何も居ない。そんな中に建物が有った。集会所らしい。果たして使われているだろうか。
 踏切の設備がやけにしっかりしたものに見える。数少ない人工物だからだろう。そして駅は煌めいていた。唯一の人の拠り所としてまばゆいものであった。その灯りも最早直ぐ消えて了うと思うと失う価値は大きい。
 線路と道路が防風林で仕切られている。それは駅の前で途切れている。切れ目から現れた駅はとても愛おしいものだった。暫くするとゆっくり列車がやって来た。雪を照らして走って来た。その様子は幻想的で温かくも儚なさも感じられた。

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 駅に戻り備え付けの温度計を見ると氷点下だった。今夜は寒くなるだろう。食事を済ませ寝袋に入った。懐炉を三個使ったが未だ寒い。眠れるであろうか。ボン、という音と共に明かりが消えた。デカい音だ。
 夜中、目が覚めた。気温は氷点下8度。道理て寒い訳だ。湿らして了った靴は少々固くなっている。思い立って外へ出た。案の定星が美しい。とても寒く星の名前が何かという事までは頭が充分に回らなかった。それでも宇宙の中にポッカリ浮かんでいる事が感じられたので充分だ。
 視線を端に遣るとぼんやりと明るい。根室か釧路か。遠い町の灯りである。ここは駅の灯りが一切消え、それに伴い人工の光を失った林に囲まれた一点である。空は遠い宇宙に開かれそちらのほうが近い。そんな気がする。私は人間か。なら何故あの灯りの方に居ない。ここは人間界とは言い難い区間になっていた。

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