平成最後のダイヤ改正、北海道廃止駅駅寝旅~22フライト前の夕張散歩

 ここもまたゴツい駅だ。新夕張駅も山間に作られた駅である。ホームからは立派なトンネルも見える。大動脈のど真ん中に居るのだ。ホームから待合室へ至る通路は近江塩津駅みたいなコンクリートの無骨さを感じる。
 この駅は廃止される支線の分岐駅だ。夕張への玄関口らしく待合室も大きく窓口もある。駅前には道の駅も見える。
 駅前のバスターミナルは噂通り広く整備されている。そしてその一角には「紅葉山」と書かれた駅名版が遺されている。夕張線の一駅から幹線の主要駅、それから支線廃止後のバスターミナル。交通の移り変わりが見て取れる。

 夕張支線のどの駅で降りようか。単純な往復ならば以前もやった事がある。どの駅か適当に降りてみよう。一番近いので運賃も安く折り返すまでの時間が長い沼ノ沢駅にした。
 単行のキハ40はこのホームには小さ過ぎる。長い特急列車や貨物列車が行き交う中でさぞ心細いであろう。新夕張駅からは地元の方々が5、6人乗車。紅葉山駅は健在だ。これで廃線になるのだからあの留萌線の増毛迄が最近まで残っていた事に驚く。それ位まだ町なのだ。
 ボックス席には千歳方面からの鉄道オタク達が一人一区画占領していた。地元の方々はロングシートに腰を掛けた。誤解のないように言っておくと鉄道オタク達のマナーは悪い訳でなく後から乗って来た者は居心地が良いだけなのだろう。
 ひょろりと伸びた単線の線路をガタンゴトンと進んで行く。直ぐに木々が迫り谷の中へと入って行くのを感じた。そして程無くして沼ノ沢駅に着いた。コンクリートのホームに普通のローカル線の大きさの駅舎だ。中に入ると人は居ないがローカル線の暖かな空気が流れていた。手入れが行き届いており色とりどりの座布団まである。広過ぎないので空洞が無い。

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 駅舎の外観は喫茶店風。田舎の駅によくありそうな店舗併設型の駅。なかなか立派で廃線前とは思えない。

 折り返し列車までの滞在という制約があるので駅の観察も程々に周囲の散策をしてみる。平屋建ての長屋が連なっている。明らかに「日本の田舎」とは異なる。最盛期は東京のアパートみたい、否それ以上に生活感があったのではないだろうか。

 そこを抜けたら風景が一変する。広大な大地にポツンと一軒。農地だなあ。という事はこの辺りの産業は農業なのだろうか。ではあの長屋は一体何であろう。
 空が夕張メロン色に染まっている。甘そうなオレンジ色だ。道の先はまだまだ続きそうだ。丁度滞在時間の半分が経過。雪が無くなれば遠くに行けるのかなと思い今回は引き返した。振り返れば一面暖色だ。そして遠くに飛行機雲も見える。数秒浸れるだけで幸せ。さあ列車に間に合わせなければ。

 帰りは一寸ルートを変えてみた。長屋が整然と並んでいるだけであろうから迷う事は無いであろう。田舎でよく見る移動スーパーが停まっている。最早住んでいる人の数も田舎と同じくらいなのだろうか。火の見櫓がひょうと立っているのは哀愁を感じる。

 少々駆け足になって了ったが発車五分くらい前に駅に到着。地元の方の利用もあるようだ。駅ノートに記帳してからホームへ。また訪れたい駅である。駅を暫く見つめていたがまたすぐに木々の迫る谷間に沈んで行って了った。ゆっくりと客室内に入ると如何にもそのまま折り返してきたなという感じだ。私はぼさっとロングシートに腰を降ろした。

 その後はボックス席が空いたのでそちらに移って随分深く眠っていたように思える。気が付けば千歳線の構造物が見え合流。南千歳駅に着いた。空港行きの快速エアポートがすぐ向かいに停まりよくできた接続だなと感心する。

 飛行機迄時間があるので一服。「まちむら」といえば北斗星号やカシオペア号での車内販売のアイスでお馴染みだ。懐かしくなってついつい購入。これはあっさりしていて冷たくて美味しかった。
 これにより今年の廃止駅駅寝旅も無事終了。

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新海誠監督作品について考えたこと

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「ハイ」な一面もあるのが「君の名は。」の凄いところ・・・「大人の教養として知りたい すごすぎる日本のアニメ」(岡田斗司夫 2017年)を読んで

「大人の教養として知りたい すごすぎる日本のアニメ」(岡田斗司夫 2017年)の「君の名は。」の章を拝見した。宇宙とか組紐を通じての「構造」の解説は私にとって盲点であった。如何に私が図書館しか見ていなったかを痛感した。そして「ロードラマ」と「ハイドラマ」という分析も面白い見方だなと思った。「ルック」の話で「写真よりイラストが上」というのは撮り鉄をやっているとよく分かる。都会の駅では一般の利用者の肖像権の問題や撮影の為に無闇に立ち止まれない事もあって敗北感を感じる。なかなか理想の撮影地というのは見当たらない。変わった列車が走る時の有名撮影地は場所の確保が競争だ。私有地の不法侵入や木を勝手に伐採するといった犯罪行為に走る輩も出て来る。いっその事絵描きに転向すれば良いのにと思う。
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新海誠監督作品について考えたこと
 「君の名は。」は確かに分かり易い、ベタなストーリーという一面もある。然しその一方で難しい、抽象的な「ハイドラマ」みたいな表現もしっかり用いている。割れた彗星の眺めは「ただひたすらに美し」いしテレビのアナウンサーは「幸運なこと」と言い出す一方で三葉達は生死を懸けて奮闘している。これは果たして「良い眺め」「良い事」なのだろうか?

曲がクラッシック音楽級
 そして音楽も秀逸。ポップスに多い歌詞でベタな気持ちを事細かに説明する曲とは一線を画している。完全五度のぼんやりとした何とも言えない心境を表していたり天に向かって訴えかけるようなリズムと跳躍が使われておりヴィヴァルディのコンチェルトみたいだったり。それから何が「もう少しだけ」か分からない、はっきりしない詞で説明されないまま何かが積もりに積もって爆発したりしている。出会えたのに何故か「淋しさを感じました」と天の声みたいに歌う。
 そしてただひたすらに美しい彗星や風景を見せて視聴者の心に何か訴えかけているとも思う。それも言葉では語られていない。
 そう考えると作家性とかは諦めらめられたりしていないと思う。大衆性と作家性の双方向から攻めて来て前人未到の領域に達した作品だと思う。エンドロールで立つ人がとても少ない作品であったそうだ。それは「めでたしめでたし」で終われない証では無いだろうか。
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前作でも大衆化の試みが
 別の作品の話になるが「言の葉の庭」のラストでは階段で言い合いになるシーンがある。それは新海作品にしては変わったシーンで分かり易いシーンでもある。新海作品のセリフは詩や呟きが多い。感情は曝け出すよりは滲み出るのが作風であると思う。こうして見ると「君の名は。」以前から「ロードラマ」みたいな試みをしていたと分かる。そのシーンも「光」や「雨」、それから表情で伝えようとする演出を抜かないのが新海らしい。そして「君の名は。」にも通じるであろう。
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平成最後のダイヤ改正、北海道廃止駅駅寝旅~21占冠駅で降りたら山だった

 自由席の利用であったが余裕で座る事が出来た。これ位空いていれば快適だ。
「次のトマムからは沢山の方のご利用が見込まれ・・・」
 とのアナウンス。忘れていた。外国人向けのリゾートがあるこの駅の事を。見込み通り沢山の人が乗って来た。通路に迄溢れる程ではないので悪くはないが車内は一変した。ここは日本か。

 さて、私はその次の占冠駅で降りる。序に夕張方面へ寄って行こうと思ったら接続が悪い。一本見送っても問題無い。そこで駅巡りをしようとという訳だ。この辺りの駅もなかなか行ける機会は無いので丁度良い。

 人口がとても少ない村だが駅は立派だ。何と言っても特急しか停まらない。ホームは勿論長く作ってあるが降りたのは私一人だけであった。駅のすぐ近くに立派なスノーシェルターがどんと構えている。国鉄が貫通させたその意地を感じる。駅舎に入ったら暖かかった。強力なストーブのお陰で暑いくらいだ。待合室は広く観光客が多く押し寄せても大丈夫だ。この辺りの観光シーズンは夏なのだろうか。スキー場は無かっただろうか。

 村の中心部迄は2,3キロある。札幌と道東を直線で結ぶ為の路線。あまり沿線は考慮されていない。足をつった感じがあるし一時間少々で往復できそうに無いので断念。そして駅は極楽だ。暖かい。そうは言っても折角来たのに閉じ籠っているのも味気ない。外に出てみよう。駅の外観は小振りな新幹線駅みたいだ。まあ建設された時代と目的が似ているのだからそうなるだろう。事務所の隣りは保線区がある。周りは見事な迄に雪山だ。スキー場とは違い木もびっしり生えている。
 駅前にレストハウスが有ったので入ってみた。中は閑散としている。レストランも営業しているのだろうか。そして広々としたロビーに革のソファー、省エネという発想が無さそうな程効かせてある暖房から昭和を感じた。昼寝に良いぞこれは。その一方でフリーワイファイがあるのは平成らしいな。
 親子の熊の剥製が飾ってある。この辺りで仕留められたものらしい。北海道での野宿というのはこういうのに遭遇する事もあるという事なのだと再認識。恐ろしい話だ。大きさはそんなに無いけど力は強いのだろう。

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 少々うとうと出来た事だし一寸歩いてみよう。外へ出ても駅前には山の向こうまで延びる道路と村営住宅が一棟。それから営業しているか分からない店が数件あるだけ。森林浴ならぬ雪山浴という感じだ。山の気を充分に吸い込んで反対列車の通過を見届けて駅に戻った。

 列車の時刻迄少々余裕がある。駅スタンプを押させて貰えた。私のノートに昨年引退したキハ183系の初期車がどおんと現れた。懐かしい。そして今でも名車として語り継がれる車両なのだな。

 列車の時刻になった。私の他にもう一人客がいた。自由席車両は先頭車。駅舎からだいぶ距離がある。歩いているうちに列車が着いたので取り敢えず乗車。村を離れ再び山の中に入って行った。今日はさようなら占冠。自由席車両にでも行くとするか。

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平成最後のダイヤ改正、北海道廃止駅駅寝旅~20食料調達!十勝清水駅、新得駅訪問

 帯広ではコーヒーを買いに行ける程停車時間はあったが面倒だったのでパス。キハ40の快適さが身に染みる。ここ迄来れば次の列車があり時間的にそれでも良いから一旦降りるか、このまま新得迄行って了おうか。
 御影駅では設備更新工事が始まろうとしていた。これを見物しに降りようかとも思ったがそれにしては寛ぎ過ぎていた。

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 結局新得の一つ手前、十勝清水駅で降りた。なかなか大きな駅なので以前から気になっていた駅でもある。スーパーとかち号は停車する駅でもある。みどりの窓口もあり待合室も広々としている。隣は文化会館になっていてフリーワイファイも使える。行政が鉄道駅の魅力作りに協力する姿勢を見せているのは心強い。「第九の町」か。今度コンサートに合わせて来てみようか。
 更にスーパーもあって買い物も便利だ。他の町も駅前の街づくりに力を入れたら良いのに。JRに文句を言って良いのはそれからだ。
 新得駅に着いたら駅そばを食べようと思っていたがついつい焼うどんも購入。それから内地では珍しい芋もちみたいなものと日量パンの商品も購入。旅の仕度は整った。
 二両編成の普通列車は定刻通り入線した。ここまでは良かった。しかし、交換列車が遅れているそうだ。新得では10分程しか時間が無いという事になりそうか。駅そばを食べられるギリギリの時間。焼うどんを買っておいて良かった。
 そのままの遅れで新得駅着。駅そば屋はと言うと休みでどの道喫食できず。行政かNPOが運営しているっぽい売店がある。そこの鳥飯が気になった。次に何時降りられるか分からない。一日限定五食だから降りれたとしてもその時に残っているか。そう考えて購入した。

 新得からの峠道はオメガカーブ。北の大地を包み込むように登って行く。素晴らしい眺めだ。そして長いトンネルに入る。窓の外が真っ暗になったタイミングで掛け紙を外すのに集中した。この鳥飯、鶏肉はジューシーで大きさもあって肉らしい。味付けもほんのり優しくほっとする味だ。
 ふと思うのだが駅弁とは何だろうか。「立売商会」に属する店が作ったものだろうか。そちらは最近では廃業になって了う店もある。モータレゼーションや過疎化とか大手のコンビニの台頭とか原因はいろいろあるらしい。その一方でこうした新しい「駅で売られる弁当」も生まれている。「駅弁」の形も時代と共に移っていいっているようだ。

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夕張支線中間4駅全駅寝ファイル4 清水沢

 やっぱり最終夜はこうなるのか。最終列車がコトコトと走って行ったが人の出入りがある。駅舎や展示の見物や明日の準備の為にやって来た地元の方々まで沢山だ。まあ、未だ19時台だから仕方ないのだが。
 跨線橋から眺めたホームは離れ小島。夜の闇の中にポツリと浮かんでいる。色々あったみたいだけどあんまり考えなかった。只々美しい眺めである。これはこれで良いものだ。

 駅の正面は赤くなったり青くなったりする。そしてたまに黄色くなる。そう、信号機の色なのだ。壁は真っ白なので駅前の信号機の色をしっかり映すのだ。
 駅から歩いて5分もあればセイコーマートに辿り着ける。駅寝には不自由は無さそうだ。
 食料の件は問題無いが私と共に最後まで残っている方はひょっとして駅寝か?広さ的には問題無いので全然良いのだが。何やら細かくメモしている。やがて彼の友人と思しき方々がやって来た。お迎えだろうか。もしかして逆に合宿?結局少々見物した後皆様帰って行かれた。結局一人。

 ポッカリ空いた空間に独り。皆帰って行って了った駅のホームの切なさよ。周りは野生を感じる事もあまり無くてはっきりとした人工物からも距離がある。そんな妙な処である。星たちが一番近くに居るかな。なんて空を見上げながら考えて了った。
 駅舎のド真ん中って一体何処であろう。椅子が真中ら辺に沢山あって真っ平らな場所と言われると一寸複雑な形にも見える。そして、考え直せば今夜は誰が来ても驚かないからあまりど真ん中というのも気が引ける。でも来るのは「一般の利用者」な訳ないか。
 結局こうやって寝た。

 駅の隣はなにやらざわざわしている。数台車中泊の車があるようだ。駅寝よりは車内の方が快適なのだろう。
 消灯後は信号機の光が入り込む。ほんのりと赤青黄色の世界になる。独特の妖しさがある駅だ。ホームはますます独立した感じになって、只々静かであった。

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 この日の朝日は谷間だからなのか霧深かったのかよく見えていないがぼんやりとした朝であった。まずセイコーマートへ行った。深夜に夜食を買いに行かなかった分朝食はしっかり購入。パック入りのスパゲッティーとミルクティーの組み合わせ。留萌線の信砂駅での事を思い出す。あの時と同じ組み合わせだ。そして、その途中で黄色い「貸切」と表示されたタクシーを見た。最終日という事で思い切ってチャーターしたのだな。テレビ局かな。兎に角いつもと違うなとは感じた。
 駅の中にも朝早くから人が集まり出している。地元の方は兎も角鉄道マニアたちは何処に泊まっていたのだろうか。気になるところだ。

 始発列車から相当数の乗客がありそうだ。清水沢駅の人の多さが物語っている。発車時刻までまだまだ時間はあるにも関わらずホームにも人が居る。そして既に汽笛が聞こえ始めている。谷間という地形もありよく反響するのだ。その上頻繁に鳴らすものだから遠い処から聞く事が出来る。
 こうして「最終日」は始まった。

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平成最後のダイヤ改正、北海道廃止駅駅寝旅~19厚内秘境モーニング

 直別の駅舎が見えなくなったところでデッキから客室に入った。見事に誰も居ない。私の専用車だ。この区間、否さっき降りて行った人達も類だからもっと前から廃止駅巡りのマニアしか乗っていない事になる。廃駅になるのもよく分かる。

厚内駅に停車するもホームには誰も居ない。交換の為の長時間停車だから発車する時に人が来るのかもしれない。交換列車がやって来て更に特急の通過も待つ。閑散っぷりにうんざりしたのか運転士さんは向こうの列車へ油でも売りに行って了った。私は寒いので車内に残った。
 特急列車が去って行っても乗客が来ない。流石に「マジかよ」と呟き一つ。普通列車はのんびりと山の中へ去って行くのだ。そして交換の普通列車は直別駅で私と入れ替わり降りて行った人達を拾うのであろう。

 と、いう訳で長い長い秘境区間、優雅なモーニングタイムの始まりである。木々は幹に枝に雪の実を蓄えてあり単調だが美しい。パンは潰れているが味は変わらない。寝袋の中で暖めた缶コーヒーと共に頂く。美味しい。
 しかし、上厚内は切なかった。一件、煙突から煙が昇っている家がある。あの家の人かな、最期に新聞か何かのインタビューに応えていた人って。そしてもうこの集落は本当に孤立して了ったと思うと不安な気持ちになる。そして駅の跡に積もった雪は切断面の包帯のように痛々しく真っ白であった。
 それから20分程で浦幌駅に着いた。ここからは乗客があった。そして十弗や新吉野でも次々に主に高校生が乗って来た。嗚呼、この為に走らせている列車なのだ。
 ここから先はうとうとしていたのでよく覚えていない。帯広迄は賑やかだった。
 帯広ではスーパーとかち号に連絡する。だから釧路から札幌に向かう時朝一のおおぞら号でなくこの便で秘境区間モーニングを楽しむのも良いかもしれない。(あ、こんな事書いたら今度読者とかちあいそうだな。)
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平成最後のダイヤ改正、北海道廃止駅駅寝旅~18雪原の蒼い朝

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 この日の朝は雪原の朝であった地球の影から覗き込む太陽の光が蒼白い雪明りとなって空気の色を染める。こんな光景に浸れるのは幸せだ。この駅は裏側だけ見れば秘境駅そのものである。そんな明けきらぬ中を一番列車がやって来た。朝早く本当にご苦労である。
 この駅に居られるのもあと一時間となった。朝の白雪が微笑んでいる。山のペンションみたいな雰囲気だ。
 やがて新得行きの列車の時刻が近付いた。駅舎より外れた所が乗車位置なので、それを正面に眺めながら列車を待つという事が出来ないのが少々残念だ。
 曲線を優雅に曲がって列車がやって来た。駅の見物を見られる方が二名降りて来た。つまり乗るのも降りるのも同じような趣味と目的の人しか居なかった。列車は力強くエンジンを唸らせる。駅を眺めたいからゆっくり発車してくれても良いのにな。

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平成最後のダイヤ改正、北海道廃止駅駅寝旅~17深夜の主

 ざわざわざわざわ。隣から何か聞こえる無線の音声みたいだ。本当は有線かもしれないがこの雑音っぽさが無線らしい。隣は何かしらの作業時に使う詰め所なのかもしれない。そこに人が居るような気配は無いが機械は動かしっぱなしのようだ。そして程無くして堂々としたエンジン音が聞こえて来た。黄色い作業用の車両が夜の闇を裂いた。ラッセルではなさそうだが大きな除雪機を着けているのが北国らしい。夜の単独行動の厳しさを物語っている。どうやら隣から聞こえるのは、この車両の位置を知らせるものらしい。なんとなくそんな雰囲気だ。少し停まって仕事場へ向かって走り出した。
 駅寝の楽しみの一つ、消灯後の駅の観察をしよう。冷え込んでいるので手短に済ませよう。
 何か住んでいるのか?赤い光が駅舎からこちらを見ている。怪物の目だろうか。どうせ機械のランプなのだろうがなかなか不気味だ。
「直別駅」の文字は立体的で様になっている。漏れて来る街灯のほのかな光に照らされる感じもまた良い。
 跨線橋に上がると駅前が見渡せる。押し釦式信号機のある交差点の灯りがまぶしく「町」であると感じられる。湿原の方は真っ暗だ。
 夜が明けるには未だ早いので寝る事にした。そうしたら再び隣でざわざわしだした。アレが帰って来るのだろうか。案の定踏切の警報機が鳴り始めまばゆい光が向かって来た。折角なので見に行こう。そうしてサーチライト、もとい前照灯の前へと踊り出た。こういう変わった事する人って作業員の目にはどう映るのだろうか。ドキドキする。停車時間はそう長くなく連絡が済めば発車して行った。
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夕張支線中間4駅全駅寝ファイル3 沼ノ沢

 夕張川にオーロラが揺れている。ゆっくりと対岸に向かいながら輝いていた。

 まず申し上げなければならない事は、この日は釧路迄石炭列車のの見物に行っていた。その運行が終わって新夕張駅迄戻って来る時には夕張行き最終列車は出発して了っている。すぐ隣の沼ノ沢駅迄の距離は約3キロ。充分歩ける。紅葉山のセブンイレブンでコーヒーを買って少々うかうかしていたらギリギリになって了った。夕張からの最終列車だ。橋をゆっくりと踏みしめて行く気動車は旅情がある。しかも周りの灯りが殆ど無いので幻想的な雰囲気を醸し出す。水面に映る窓の灯りがオーロラなのだ。

 そこからは暗い一本道を道なりに進む。するとぼんやりと小さな踏み切りが浮かび上がる。これもあと数日でお役目御免なのだ。そう考えると切なくなる。
 沼ノ沢の跨線橋には「石勝線」と書いてある。「夕張線」では無いので割と新しいと見た。そして歩行者用の橋の向こうには農家らしい住宅がある。

 坂を下って少し歩けばもう沼ノ沢駅。あっけなく着いて了うものだ。可愛らしい座布団がありほっこりする駅である。なかなか居心地が良い。元々事務所だった所は「レストランおーやま」になっている。そちらの看板の方が大きいから一見駅とは気が付かないかも知れない。

 ホームに出ようとすると一寸した渡り通路がある。昔は広いスペースが必要であったのだろう。振り返って見た駅名版はなかなか渋い味を出している
洋食屋に乗っ取られた感じは無い。だがカレーの匂いが洋食屋の存在を私に伝えている。冷蔵庫であろうか、機械の音も聞こえる。
 釧路からの特急列車の中で充分寝られたのであまり疲れていない。セイコーマートの焼き鳥はなかなか美味しい。念の為言っておくとこれは鶏肉であった。北海道の場合豚肉を使用したものも焼き鳥と言う。特に室蘭。全体的に豚肉を使うのが食文化のようだ。だがこの商品は全て鶏肉だ。北海道の食材を積極的に使うセコマがブラジル産の肉を使うのは少し意外であったが。

 余談が長くなったが最高の晩酌であった。それにしても駅前を素通りする車の往来が程々にあると鉄道が廃れた感じがして寂しいな。
 消灯されても外は明るいオレンジ色のライトが通りを照らしている未だ生き生きした街なのにな。廃線は本当に勿体ない。昼間とは違った怪しい感じがまた良い。
 翌朝は曇っていた。ゆっくりと蒼白く夜が明けて行く。一番列車は霧の中から目をこすりながら現れた。時刻が一番早い駅である事に加えてぼんやりとした感じの朝がそう思わせるのだろう。

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夕張支線中間4駅全駅寝ファイル2鹿の谷駅

 日は暮れかかっているが未だ車窓の風景は楽しめそうな時間であった。だが人も多いし駅でゆっくりしようか。そう思って駅寝にしては少々早いが鹿ノ谷駅に降り立った。元々石炭会社の幹部の方が住んでいた所で今でも金持ちの街らしい。それだけに車窓も美しい眺めである。駅の近くの跨線橋や高台は撮影スポットになっている。
 駅舎の中はだだっ広い。ダンスホールとしても使えそうだ。この駅は地元の有志が駅ノートの管理を行い来駅記念証も手作りしている。窓には汽車の切り絵もあり公民館のような主婦の集会場といった雰囲気だ。
 駅前には倉庫が一つと坂を下った所に郵便局がある。店屋が無いのが物寂しい。
 この日は疲れていた。だから駅な中でゆっくりしようかと考えた。けれどあの丘の上が気になる。反対側の山は夕日が淡く萌えている。これは登ってみないと損かも知れない。

 跨線橋を渡り駅裏の山へと続く道を登ると程無く舗道に出る。この道で良さそうだ。更にそこを歩いて行くと白い駅舎が構えていた。背後の山に日は沈む。間もなく夜がやって来る。この時間が一番尊い。谷の下はキラキラと街灯が光る夜の世界。それとの組み合わせがまたロマンチックな光景。
 そして静かな静かな銀河のような谷間を下り最終列車が光の帯となって走って行った。

 数時間前迄人がちらほら居た駅舎内も今は無人。駅寝の時間の始まりだ。上りの最終列車を眺めながら軽くお酒タイム。無人駅にワインは良い。そして早めに寝袋に入った。誰も来ないであろう。

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 この日は本当に疲れていた。清水沢駅付近で雪に濡れて了ったせいだろう。冷えるのは良くないな。無理も良くないな。
 いつの間にか消灯されていた。月明かりが差し込むお屋敷の大広間みたいな雰囲気だ街路灯と思われれる光が実に怪しい雰囲気を醸し出している。雪、風共に激しく耳に届く不安な夜であった。駅舎は丈夫なので問題ないが外に出る気にはならなかった。
 気が付けばもう夜明けだ。力を抜けばよく眠れるものだ。一番列車は空いている。暖房がこれ程有り難いと思ったことは今までにない。

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